ひとりといっぴき時々かあちゃん

母直伝 "良いものを長く大切にする暮らし"

普通が案外難しい、映画『彼らが本気で編むときは、』に想うこと

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月に1回、映画館に行きます。
先日観た作品がとても感慨深く、初めて映画のレビューを書きました。

本日は、映画『彼らが本気で編むときは、』のお話、ネタバレ注意です。

 

『彼らが本気で編むときは、』とは

かもめ食堂で有名な映画監督、萩上直子監督の最新作です。

彼女の作品は全て観ているのですが、本作ではこれまでの作品とはひと味違った新境地を切り開いています。

過去の作品同様、ベタベタしないけど心に寄り添う、絶妙な距離感の人間関係ではあるのですが、伝えたいメッセージがよりストレートに描かれていると思いました。

好みが分かれる作風の監督ですが、今作は老若男女問わず観れる作風だと思います。

 

監督・脚本

萩上直子(おぎがみ なおこ)

デビュー作は『バーバー吉野』2006年『かもめ食堂』が大ヒットし一躍有名に。

以降『めがね』『トイレット』『レンタネコ』など、発表する映画全てが海外の映画祭で高い評価を受け多くの賞を受賞しています。

 

あらすじ

小学校5年生のトモは母のヒロミと2人暮らし、ヒロミはある日突然トモを置いて男のもとへ行ってしまう。

トモがヒロミの弟マキオの家に行くと、リンコというトランスジェンダーの女性と一緒に住んでいた…

美しい心を持ったトランスジェンダーのリンコと、全てを受け入れるマキオ、そして孤独に育ち愛を知らないトモ、桜の季節に出会った3人の60日間の物語です。

 

キャスト

トモ(小学生5年生):柿原りんか
マキオ(トモの叔父):桐谷健太
リンコ(マキオの彼女):生田斗真

ヒロミ(トモの母):ミムラ
サユリ(トモの祖母):りりィ
フミコ(リンコの母):田中美佐子
ヨシオ(リンコの義父):柏原収史
カイ(トモの同級生):込江海翔
ナオミ(カイの母):小池栄子 

 

『彼らが本気で編むときは、』に想う 

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萩上監督の作品は、毎度キャスト選びが素晴らしい。

今回は、生田さんのトランスジェンダー役への挑戦が話題になっていましたが、母性や愛情がスクリーンからほとばしるほど「心まで女性」でした。

そして、柿原りんかさん演じる「トモ」もすごい、非常に繊細な心の揺らぎを、見事に演じきっていました。

役者さんの話はここまでにして…映画から気になった部分をピックアップしてみます。

ネタバレありです、ご注意下さいね。

 

11歳にのしかかる現実

荒れ放題の家、男と出て行った母、初めて会うトランスジェンダーの女性、その女性を心から愛する叔父、数年振りに会った祖母は認知症で、同級生は身体と心の違いに悩み自殺未遂を起こし、クラスでは仲間外れにされる。

5年生が対峙するには深過ぎる現実ですが、トモは戸惑いつつも淡々と受け入れます。

トモは冷めたような所があるのですが、少しずつ感情が出てきて、ママが恋しくて泣いたり、時には洗剤をぶっかけたり(笑)普通の子どもらしくなっていきます。

のしかかる現実とそれを見つめるまっすぐな瞳が、時に頼もしく時に苦しかったです。

 

普通と向き合う苦悩

リンコの母フミコは、リンコは世界一かわいい♡と豪語する明るい人。

息子が娘になってからのエピソードは描かれていますが、娘になるまでの苦悩については一切描かれていません。

一方、同じトランスジェンダーで悩むトモの同級生カイの母は、リンコも息子も「普通じゃない」と否定します。

リンコの母もはじめは否定したのだろうか、カイの母もリンコの母のようになれるだろうか…2人の母の違いが過去と未来を映しているようでした。

後々、トモの母もリンコに対して「普通じゃない」と言います。

でも、トモにとっては「キャラ弁作ってくれて、髪を結ってくれて、一緒に寝てくれる!」そんなリンコさんが普通で、母はそれをしてくれない。

普通じゃないことを受け入れるのも難しいし、かといって普通のことが普通にできない。

何度も出てきた「普通」という言葉、考える程、普通って何??状態に陥りました。

 

編んだ分だけ心がほぐれる

「男根の供養」のため108個作ったら、全部燃やして戸籍を変える、そう言ってリンコは悔しさや悲しみを「煩悩」に編み込みます。

トモも編み方を教えてもらい、仲間外れにされた教室で煩悩を編み続けていました。

愛情は全身で表すけれど、苦い感情は編み込んで仕舞う。

凍っていたトモの感情が、マキオやリンコたちと暮らし、煩悩を編み込むほどほぐれていく…この件はこちらまで心が軽くなるようでした。

 

マキオの器の大きさよ

マキオは終始穏やかで、登場人物の中で1番「普通」の考えの持ち主です。

姉が育児放棄するのは、優先順位が子どもじゃなかっただけ。

認知症の母を施設に入れた時、ホッとした。

リンコのような心の綺麗な人に惚れたら、男とか女とか関係ない。

素直に自分の感情と向き合い相手を受け入れる姿勢に、こんな人間にはなれないっ!と頭をブンブン振ってしまいました。

「受け入れます、全部」そう言える人、なかなかいません。

 

みんな違ってそれでいい

映画を見ながら、子どもの頃の苦い思い出が甦りました。

人と同じが嫌で集団行動も苦手という、こじらせた小学生だったわたし…それでも母は、みんな違ってそれでいいと、何かを強要することはありませんでした。

大人になってから、娘の「普通じゃない」状況について、当時はどう思っていたのか聞いたことがあります。

「集団行動もコミュニケーションも大人になったら必然になる、だから子どものうちは感性も感情も自由な方がいいと思って」

「人と違って良いと思うなら自由に、同じが良いと思うなら同じにと思っていたら、なこは自由を選んだ

そう言われて笑いました、母も娘も普通じゃなかったのかも(笑)

 

柔軟な心と肯定する力

普通じゃなかった娘も、高校生になる頃には母の予言?通り、集団行動に抵抗もなくなり、皆と同じようにルーズソックスに短いスカートでプリクラを撮っていました。

高校も大学も美術学校に通いましたが、人と違うことが評価され、普通じゃない人ばかりいる世界は、とても生きやすく居心地の良い9年間でした。

マキオや母のように、柔軟な心で肯定出来れば、味方がいれば、きっともっと生きやすい。

普通じゃない理由があるのかもしれないし、否定から入らずに肯定から物事を考えなければと、エンドロールを眺めながら自分に喝を入れたのでした。

 

ブレない志を持ちたい

ブログを書いると、シンプルライフでもミニマリストでもないし、こんなあやふやなテーマでいいのかなぁ、と自問自答することがあります、悶々と。

話題性のある記事を書けばPV数も伸びるだろうし…なーんて。

でも、みんな違ってそれでいい。
自分なりの好きを追求し、自分のペースで少しずつ前へ前へ!です。

 

桜の綺麗な土手で編み物をするシーン、仲間に入れて欲しくなりました。
外で作業するの、いいかもしれない。

あ、観賞後もれなく瓶ビールが飲みたくなりますよ、あと切り干し大根も。
「ビールを作った人にノーベル賞あげたい」に至極同意ですっ!

 

本日は長文失礼致しました、最後までご覧頂きありがとうございます。
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